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第35回・湯の里林道外伝
●2005年4月9日
秋田市中心部→秋田市山内藤倉→秋田市上新城湯の里→大滝山
 
2005年4月9日。やっと高校に入学することができた。
しかし、浪人という壁は厚く、なかなか学校に馴染めない。
気分転換に大滝山温泉にでも行こうかと副部長を誘った。
朝、8時30分。急遽、元メンバーのクリ氏を誘いたくなった。
いざ、携帯に電話してみると・・・

「こちらは、auお留守番サービスセンターです。」

また、これだよ。副部長も40分頃に本部(湊の自宅)に来た。
9時頃、準備が出来たので二人で出発した。
濁川から添川に抜けて県道15号線を北上。
山内松原で旭川の様子を見ると増水していた。

 
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清流、旭川(秋田市山内松原)

さて、山内藤倉にたどり着いた。
ここから湯の里林道に入る。これがこの旅最大のミスになるとは・・・・。
そもそも、添川から県道42号線を通り上新城道川に抜けてもよかった。
しかし、時間に余裕もあったため、久々に林道を堪能しようとも思ったのでそうした。
「引き返しておけば」
これが、旅後の第一の反省点である。
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湯の里林道入り口(秋田市山内藤倉)

この坂を一気に駆け上がると「市王子橋」が見えてくる。
この林道は全線舗装されているらしく、憂いはなかった。
いつぞやの昔に、元祖メンバー3人でここに来たことがある。
そのときを振り返りつつチャリを進めた。
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藤倉側第一の難所の坂(秋田市山内藤倉)

そのとき、ここにオートバイが放置されていた。
季節は晩秋で山菜採りやきのこ採りでもないと思い、
一瞬、自殺者かと思ってしまった。
鍵がついていたので、副部長がそれに乗って逃亡する、
という騒ぎに発展しそうになったが、食い止めた。
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道路にかぶさる雪(秋田市山内藤倉)

「うわー雪だ・・・」
さすが、山である。4月だというのに雪である。
第二の反省点になるが、雪を考慮し、ここで引き返しておけばよかった。
まだまだ勾配は続く。
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雪はとぎれとぎれ舗装路を覆っていた。
かなり勾配は高くなり、疲労がたまってきた。
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ひなびた副部長(道川林道分岐点)

やっと、道川林道分岐点にたどいついた。
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左へいけば大滝山(道川林道分岐点)

これを右へいけば我々もまだ見ぬ「湯の里林道本線」である。
隣のガードレールには
「湯の里(8キロ)←→藤倉(2キロ)」という木札があった。
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木札(道川林道分岐点)

さて、どっちへ行こうか・・・。
副部長と私の押し問答が始る。
まず、最初、二人とも・・・
「お前の好きな方にしろ」と言う。だから埒があかない。

「だったら本線を直線するぞ」
この私の判断がこの旅、第三の反省点(ってか最大のミス)になろうとは。
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湯の里林道本線を見る(道川林道分岐点)

本線を行こう。本線を行こう。本線を行こう。
今、これを執筆するわが心にこの声がこだましている。

さて、旅を続けよう。
勾配はさらにきつくなり、厳しいアップダウンが続いた。
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このような道が続く。特に五枚目の画像でも分かる通り、
まだ積雪の状況が非常に厚い。
副部長と私のスプリングな靴は見事、浸水した。
春先の雪はシャーベットで水分を多く含んでいる。
第四の反省点としてここでほんとに引き返しておけばよかった。
副部長のキレはピークに達していた。
と、同時に湯の里林道もピーク(頂上)に達していた。
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丘陵ずたいに伸びる林道本線(秋田市山内藤倉)

やっとの思いで山頂にあがったとき、我々の息は上がっていた。
が、そこからみる秋田平野の光景は素晴らしかった。
「セリオン」が豆粒であった・・・
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秋田平野を眺めて(秋田市山内藤倉)

さーて。これからお楽しみの下りが始る・・・・。
この私の馬鹿げた判断が、決定的な取り返しのつかない、
反省点になろうとは、湊も副部長も知る由も無かった・・・・・
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地獄への行進曲・・・♪(秋田市山内藤倉)

なんじゃこりゃぁぁぁぁ!!!!
急峻な坂にたんまりと積もっているシャーベット。
一面の針葉樹林帯の中を一本のスキーの滑走路の如く延々と続く坂道。

そう。上新城はまだ冬だった。

私の頭は何か重いものにぶたれたかの如く、失望した。
「果たして、家に帰れるのか・・・・」
副部長はキレ。湊は絶望感に浸る。もう埒があかなかった。
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チャリ旅一向、雪倒れ(秋田市上新城小又)

しばらく進むと、湯の里川が現れた。
私が川を見ていると・・・・
副部長は・・・・
「川なんか見てんじゃねーよ。」
と、きつーい一言。事実、このとき二人は手足の感覚がなかった。
スプリングな服装に染みる、厳冬期の上新城の山中。
さらに、しばらくいくと「北ノ又沢林道」が現れた。
いけども、いけども湯の里川と杉しか見えてこない。
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雪道は危険がいっぱい(秋田市上新城湯の里)

と、そのとき・・・・・
前方を何かが歩いている・・・・
ま、まさか・・・・

熊!?

一瞬、キレている副部長も固まった。
我等は防御体制に入ってしばらく動かなかった。

果たして、その生物は熊だったかは定かではない。
だが、あの状況では私にとっては鼬が出たとしても、
熊と同じくらいの恐怖であった。
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蛇行を繰り返す湯の里川(秋田市上新城湯の里)

と、そのとき前方に二人組の人が歩いていた。
「た、助かった・・・・」
後ろから「どうも・・・」と声をかけると、
その人たちは仰天したように、びっくりした・・・・と。
「あの雪の壁を越えてきたのか?」
「はい・・・」
自分たちの愚かさを悟った。
まず、一安心というとこだろう。
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湯の里集落(秋田市上新城湯の里)

しばらく走ると、斜面から氷がなくなり湯の里集落に出た。
「た、田んぼだぁ・・・・・!」
田んぼをみて興奮し、感動したのも生まれて初めてだろう。
その後、我らは大滝山温泉で冷え切った体を戻して無事岐路についた。
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無事帰還?
公開日   2005年4月9日
最終更新日 2020年4月2日
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